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私はあなたにスープを贈った
受けるがよろしい、客として
なんならベンチにおかけなさい、すっかり食べてもかまいません
ところであなたに忠告を。

じゃがいもは歯で噛み切ること
骨は犬歯でかじること
肉は噛まずに丸のみすること
それから水は鼻から注ぐと良いですよ

グレゴリ− 皮が喉に詰まった
       私の背中を叩いてください
        まぐれで扉が開くかもしれない
 マーシャ  トン トン トン!
グレゴリ− どなたですか?

マーシャ ガラス瓶。
グレゴリ− ほらね ほらね
       また夢を見はじめちゃった

マーシャ ところで何を見ているの?
グレゴリ− 家が見えるな
        家にはスープ
        スープは熱すぎウープすぎ
マーシャ そりゃまたどうしてなのかしら? 
グレゴリー 俺に聞かないでくれ
       ガラスの小首をひねりなさんな
       ほらね 片足で立ってるよ
       揺れもしないし転びもしない
       ブヨが頭の後ろをこずきまわす
       それでも空気が支えてくれる   
                  夕方の 涼しい空気
       ほらね 足をすばやく動かせば    
       地面からもちあがってゆく
       ロウソクの上を飛ぶ 本の上を
       ハエが俺の足跡を覆う
       俺を追いかけて マーシャ!
 
マーシャ フック フック
      手袋飛んでけ
      あなたのかかとを捕まえる
      行けやしないわ やぶっ蚊さん
      フック フック
      スカート飛んでけ
      楽に走れる
      大またで。
      あらまあ、グリーシャ、柵が!

      ということは、飛び去ったの




                                                          

                                                          挿絵 
河原朝生